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依頼者必見!翻訳会社の比較、選び方と注意すべき3つのポイント

  • 最終更新日:

翻訳会社の選び方
  • この記事がカバーする悩み:

    1. 依頼したことないから翻訳会社の選び方が分からない

    2. 翻訳サービスの種類が多く、それぞれの仕組みが分からない

    3. お金だけ取られて、変な翻訳を掴まされるのでは?

  • 記事のターゲット:

    初めて翻訳を依頼する人、今まで翻訳を依頼して失敗してきた人

1. 翻訳サービス選びはなぜそんなに難しいのか?

通勤や買い物のように、飽きるぐらいやっていることは何も考えずにできてしまいます。しかし、知らない国に行ったり、未知の領域に踏み込んだりするときは話が変わります。初めてだから知識や経験がなく、脳裏をよぎる“失敗”の2文字で強烈な不安に襲われます。

普段の生活に翻訳は全くと言っていいぐらい不要ですが、その時が突然やってきます。「この資料の翻訳が必要だ。手配してくれ!」って上司に頼まれた日です。未知の領域へようこそ!でも心配しないでください。私たちの経験から絞り出した3つのポイントを覚えるだけで、あなたもこの底なし沼を切り抜けられます。

2. 私たちと同じ轍を踏まないように

私たちの依頼者としての経験

私たちはFrontierを立ち上げる前、家庭用・業務用の様々な製品を作るメーカーの社内翻訳者でした。世界でも有名な会社なので、開発する製品の数とスケジュールはかなりタイトでした。翻訳は基本的に私たちが社内でやっていましたが、どうしても間に合わないときがあります。その時は社外(国内外の翻訳会社)にお願いしていました。

製品の取説やファームウェア・ソフトウェア、カタログやWebサイトなど、翻訳の種類は様々でした。正確さはもちろん、会社のアイデンティティやブランドイメージを保つため、かなり厳しい品質基準を設けていました。その品質基準を保つため、必要な用語集(それぞれの会社が使う独自の用語)やスタイルガイド(訳文を書くときのルールブック)、翻訳メモリー(今までの“翻訳集”)まで翻訳会社に提供して翻訳をお願いしていました。しかし、戻ってくる翻訳はいずれもルール・要望を無視したもので、翻訳メモリーも全く生かされていない内容でした。

いい翻訳をしてもらうために大金を支払ったにもかかわらず、納品された翻訳はほとんど役に立ちませんでした。修正に莫大な時間を掛けるときがあれば、納品されたものを丸ごと捨てて、私たちでゼロから再翻訳する“非常事態”も何回か発生しました。翻訳会社に払った翻訳費用が戻らないどころか、社内で再翻訳するために開発費用がさらに膨らみました。

お願いしたすべての翻訳会社で失敗したわけではありません。ロシアの翻訳会社を試したときがありましたが、全ての基準をお見事にクリアしました。それまでの翻訳会社と比べて、全く気取らず、高い技術力を持っていることが最大の特徴でした。売れっ子でスケジュールを押さえることが難しかったため、依頼がその一回限りになってしまったことが心残りでした。

翻訳会社選びで成功といえるのはその時だけで、残りは納品物の修正や再翻訳で時間とお金の無駄に終わりました。しかし、その絶望的な“99%の失敗と1%の成功体験”で私たちは次のことに気づきました:

  • 翻訳サービスはすべて同じではない。それぞれに特徴があります。
  • それぞれのサービスの特徴を知ることが大事です。
  • 翻訳の目的を明確にし、その目的に合うサービスを選ぶことが重要です。
  • 高いのに悪い翻訳もありますが、激安で優れた翻訳を出すプロはいません。

3. 翻訳サービスを選ぶときのポイント

私たちが依頼して気づいたのは、翻訳の成功と失敗を分けるのは相手(業者)ではない。依頼者が3つのポイントを意識し、実践しているかどうかです。

翻訳を成功へ導くためには、依頼者は「翻訳サービスの種類、仕組みと特徴を理解」し、「翻訳の目的を明確にする」とともに、「翻訳と料金の関係を意識」することが重要です。その3ポイントをしっかり意識すれば、お金と時間が希望通りの翻訳に変貌します。

翻訳サービスの選び方で押さえるべき3つのポイント

4. 翻訳サービスの種類、仕組みと特徴を理解する

むかし、翻訳と言えば翻訳会社の一択だけでしたが今は様々な翻訳サービスが登場しています。“翻訳”をする点では同じですが、それぞれのサービスに特徴があります。床屋と美容室のような感じです。髪を切るという点では同じですが、それぞれの守備範囲、特徴と使っている技術が異なります。

翻訳サービスを大きく3つに分けられます:クラウド型翻訳、翻訳会社(再委託型)と翻訳会社(社内翻訳型)です。まずはクラウド型翻訳の仕組み、メリットとデメリットについてみてきます。

クラウド型翻訳

クラウド型翻訳はクラウドソーシングから発生したサービスの一つです。クラウドソーシング(crowdsourcing)とは、仕事を不特定多数の人に任せることです。例えば店のチラシを作りたい場合、「チラシを作ってほしい」という依頼を出すことで、インターネット上の不特定多数からチラシを作る人とつながります。

クラウド型翻訳のメリット

他の翻訳サービスと比べて、クラウド型翻訳の最大のメリットは速さです。やり取りはWeb上で完結しますので、依頼から最短10分で翻訳が納品されることもあります(数単語、短いフレーズ程度)。納品の速さはその仕組みに支えられています。翻訳が依頼されると、そのサービスに登録されているすべての翻訳者にメールが届きます。メールには依頼された文章の文字数と報酬料金が書かれていますが、ミソは「報酬は最初に翻訳した2名だけがゲットできます!」という一文です。一斉メールを受信した殺し屋たちが賞金首になったジョン・ウィックのあとを追うような感じです。翻訳が数分で戻ってくるのは、映画さながらの仕組みが存在するからです。

クラウド型翻訳のデメリット

クラウド型翻訳のデメリットは品質の低さで、クラウドソーシングのデメリットをそのまま引き継いでいます。クラウドソーシングは本来、発注者(サービスを求める側、主に企業)と受注者(サービスを提供する側、ドクターXのような“失敗しないフリーランス”)が直接出会える場を目指す取り組みですが、現実は違います。クラウドソーシングに登録しているのはほとんど主婦と学生です。理由は様々ですが、相場と比べて異常なぐらい低すぎる報酬が最大の原因です。

クラウド型翻訳サービスの一つを例に取ると、文字数1,000字に対し、報酬は100円です。つまり、1文字が0.1円という計算になります。プロ翻訳者の単価は1文字10円以上と考えると、相場の10分の1です。この不当なぐらい低い報酬に対してプロが見向きもしないことは言うまでもない。クラウド型翻訳に十分なスキルを備えていない人材しか集まらないのはそのためです。

翻訳会社(再委託型)

翻訳業界でも最も多いタイプの翻訳会社です。営業担当(コーディネーター)が依頼者と翻訳者のリレーを行う仕組みです。翻訳を依頼すると、コーディネーターが会社のデータベースから最適なフリーランスを選び、依頼者からの要望を伝えるとともに仕事を再委託します。会社のデータベースに翻訳を対応できる翻訳者が見つからない場合、インターネット上でフリーランスを探したり、別の翻訳会社に仕事を再委託します。翻訳が終わると翻訳者(または翻訳会社)が翻訳会社に納品し、翻訳会社が依頼者に翻訳を納品します。

翻訳会社(再委託型)のメリット

再委託型翻訳会社のメリットは主に2つです。1つ目は、依頼者が翻訳者を探したり、指示を出したりする必要がありません。翻訳会社が依頼者の代わりにすべてをやります。

2つ目は何と言っても、多くの言語と分野に対応していることです。「世界30言語に対応しています!」や「120か国語とあらゆる分野をカバーします!」という宣伝を見たことありませんか?想像してみてください。マニュアルを80か国語に翻訳する必要があります。30か国語しか対応できない翻訳会社に依頼すると、残りの50言語を翻訳してくれる翻訳会社を探す手間が発生します。場合によって、10社以上に振り分ける必要があります。しかし、最初から120か国語を対応できる翻訳会社に依頼すれば、あなたの手間は1回で終わります。この手間を省いてくれる点が再委託型翻訳会社の最大のメリットと言えます。

翻訳会社(再委託型)のデメリット

仕事をお願いする依頼者と実際に翻訳をする翻訳者の間に、1社または複数の翻訳会社が間に入ります。そこで大きなデメリットが3つ発生します。1つ目は指示ミスです。あなたが出した要望を翻訳者に伝える必要がありますが、翻訳会社の営業担当やコーディネーターが翻訳に詳しくない場合が多いです(ほとんどは日本語しかできず、翻訳者として活動した経験もありません)。その伝言ゲームの中で情報の正確性が失われて、違う要望に変わります。伝言ゲームの参加者が増えれば増えるほど、目を覆いたくなる結果になります。

2つ目は品質の劣化です。仮に伝言ゲームが奇跡的に成功したとしても、間に入った翻訳会社の数だけマージンが発生します。すると、最初は適正な報酬だったとしても、間の中抜きによって翻訳者の文字単価が異常なぐらい低下します。ここまで来ると、対応するのはプロの翻訳者ではなくなります(クラウド型翻訳と似たような結末)。

3つ目は情報漏洩の問題です。伝言ゲームに参加している人の数だけ、翻訳原稿が複製され、転送されます。ITリテラシーがない人の手に渡ると(カフェなどで作業したり、フリーのWi-Fiやアプリを使用したり、情報の暗号化を行わない人など)、依頼者や原稿の情報が瞬く間に漏れます。NDAなどの秘密保持契約を締結していても意味ありません。あなたが実際に被った損失をカバーできるだけの損害賠償が出ませんから。

翻訳会社(社内翻訳型)

3つ目は少なすぎて、数えられるほどしか存在しない翻訳会社です。社内翻訳型の翻訳会社はその名の通り、翻訳を社内で行っている会社です。受注した翻訳をまた別の誰かに横流しするのではなく、社員が翻訳します。その多くは現場だけではなく、社長も外国語操れる翻訳者なので、職人気質で品質へのこだわりが強いことも特徴です。

翻訳会社(社内翻訳型)のメリット

社内翻訳型翻訳会社の場合、社員が全員翻訳者の場合が多いです。最初の問い合わせから納品まで翻訳のプロが対応しますので、翻訳に関する表面的な事柄から言語・技術の難しい問題まで分かりやすく説明・提案します。通常の営業と比べて口下手な部分が見られますが、職人気質なので、できることをできるといい、できないことをできないとハッキリいいます。日々最新の情報と多くの仕事を経験していますので、技術力が高く、実現不可能に見える課題に対してもあっと驚く方法で解決します(例えば900ページあるマニュアルの用語を1時間で正確にチェックするなど)。

そのため品質が非常に高く、優れた翻訳が求められるケースに向いています。また、翻訳者と会社が一心同体だからこそ、情報セキュリティーに対する意識が強く、ITリテラシーも高い。

翻訳会社(社内翻訳型)のデメリット

完璧に見える社内翻訳型の翻訳会社ですが、弱点も当然あります。まず、他社に翻訳を再委託しないため、対応できる言語数と分野が限定されています。上記の例のように、80か国語の翻訳を一手に引き受けることができないため、依頼者が自ら複数の翻訳会社を選びながらスプリットする必要があります。

また、少数精鋭の小さな部隊なので、複数の案件を同時に進めることができません。「近い内にこの翻訳が発生しますが、対応できそうですか?」とスケジュールを事前に確認して抑えないと、急ぎの翻訳に対応できない可能性があります。クラウド型翻訳や再委託型翻訳会社にはまず発生しない手間なので、利用する上で若干面倒くさい部分があります。

5. 自分のニーズを知り、翻訳の目的を明確にする重要性

想像してみてください。床屋と美容室の違いが分かりました。美容室に入って「お任せします」と丸投げしたらどうなると思いますか?まず、美容師さん「出たぁ!」と思って困るに違いない。それでもあなたに喜んでほしいから、髪質、頭や顔の形を判断しながらベストを尽くすことでしょう。とはいえ、絶対的な答えはありません。無数ある髪型から1つ選んで勝負します。運が良ければあなたがその結果に満足しますが、最悪の場合は“切られた髪を返せ!”と心の中で叫ぶでしょう。しかし、美的センスや好みは人それぞれで是非もなし。目的の髪型を伝えず、相談もしなかったあなたにも非があるでしょう。

品質面

髪型と同じように、満足できる翻訳を手に入れるためにはその目的を明確にすることが重要です。翻訳の目的とは「翻訳で何を実現したいのか?」という意味です。例えば、高級化粧品を作っているメーカーが日本語のWebサイトを英語に翻訳したい場合を考えましょう。「翻訳の目的は何ですか?」という質問に対して、最低でも2つの答えが出てくる可能性があります:

  1. 日本に住んでいる外国人に商品情報を提供するため。
  2. イギリス市場で商品を展開するため。

1の場合、日本語の文章をなるべくそのまま使って、一般的なアメリカの英語に翻訳していきます。2の場合は未開拓の市場に参入するため、ブランドイメージなどのマーケティング要素を強く意識する必要があります。日本語の売り文句は海外でほとんど通用しないから、通常の翻訳を若干超えた工夫が必要です。あとイギリス市場なので、ブリティッシュ英語にする必要があります。

翻訳は機械的な作業に見えますが、目的一つで大きく変わるものです。役に立つ翻訳を手に入れるためには、目的を明確にする必要があります。

費用面

翻訳の目的をしっかり伝えれば、翻訳者はどのような翻訳を作ればいいか分かります。その翻訳に必要なツール、情報、期間やリサーチなど、費用が計算しやすくなります。

逆に翻訳の目的が不明だと、何がどの程度必要かは全く分かりません。並ライス的な安い見積もりを出すべきか、それとも海鮮丼全部乗せレベルの高い見積もりにするか。客が何を食べたいのか検討付きません。費用のトラブルを防ぐためには、見積もり依頼時に翻訳の目的をしっかり説明する必要があります。

6. 料金に騙されるな!サービス内容をしっかりチェック

最も多くの依頼者が頭を抱えるのは料金です。翻訳料金は会社によって大きく変わりますので、何が安く、何が高く、何が相場なのかさっぱり分かりません。一見「詐欺では?」と警戒してしまいますが、これは翻訳特有の問題です。

客観的な判断が難しい翻訳の特性

電気製品(例えばテレビ)を買うときの場面を想像してください。欲しいメーカーと製品の型番が決まったらkakaku.comにお世話になりますね。できることなら一番安く買いたい、得したいと思うのは人間の心理です。目当てのテレビはどの店で買っても、性能と中身は同じです。どこで買っても同じテレビなら、安い方がいいに決まっています。

ところで文章はどうでしょう?十人十色という四字熟語があるように、同じテーマであっても、10人が書いたら10通りの文章が出てきます。翻訳も同じです。結果が一様ではなく、びっくりするぐらい多様なものです。あなたの目的に一致する「いい翻訳」があれば、目的に全く合わない「悪い翻訳」もあります。役に立たないものが混ざっている以上、料金だけで比較する意味がありますか?

納品物の違い

料金の中で品質が占める割合は大きいですが、全てではありません。注目すべきは納品物とその状態です。

例えば、あなたが商品を海外で売るため、日本語のカタログを元に英語版のカタログを作りたい場合を考えましょう。納品されたら、次の日からでも使い始めたい。一番安いところに翻訳を頼んだら、戻ってきたのはカタログの欠片もない、英語の文章だけがびっしり書かれているテキストファイルでした。これでは、あなたが自分で写真を切り抜いたり、レイアウトを整えたりしながら英語版のカタログを作らなければなりません。もちろん、DTPの技術が必要だし、英語も最低限理解できなければどの文章をどこに貼ればいいか分からないでしょう。そこに掛かる費用と時間は計り知れない。

逆に、“いい値段するっね!”って業者に頼んだ場合、すぐ使えるキレイな英語のカタログが納品されたらどう思いますか?それだけじゃない。「次期カタログが発生したとき、品質をさらに上げ、納期をさらに短くし、料金も安くできる翻訳メモリーも作っておきました」と言われたら?

依頼者から見て、文章ができるまで翻訳の品質は分かりません。そのため、正確な翻訳であなたの目的に合致したものが出てくることを祈るしかない部分があります。しかし、納品物の中身は発注前の見積もり時から決まります。「何をどのように、いくらで」と見極めることで、業者の自信と本気度が分かります。その自信と本気度から翻訳の品質はある程度見えてきます。

Point

納品物に何が含まれているのか?あなたの期待を満たすものか?むしろ、予想を超え、あなたが見えていなかった部分までカバーしているのか?納品物の中身によって料金が大きく変わります。その中身が自分に適しているかどうかを考えることで、料金が高いか安いか判断できます。

まとめ

翻訳の依頼は普段やることではないし、人によっては一生頼むことありません。しかし、私生活(旅行のビザ申請、移住)や仕事など、その必要性が知ってか知らずか、否が応でも突然現れます。

翻訳サービス選びで失敗しないためにはまず、どんなサービスがあって、それぞれの仕組みや特徴を知ることが大事です。次は翻訳の目的を具体的に考え、あなたが求めている結果を明確にすることです。そして最後、料金で失敗しないために、予定されている納品物の中身をチェックすることです。この3つのポイントを総合的に考えることで、あなたにピッタリの翻訳サービスがきっと見つかります。

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