翻訳家になるにはどうすればいい?年収や必要なスキルなど、現場のプロが裏側を教えます

それでも翻訳やりたい?

翻訳はどんな仕事?翻訳家になるには何が必要?翻訳で生きていけるのか?
翻訳を目指す人が知らなければならないことを、20年以上この世界で戦っている翻訳者たちが包み隠さず教えます。

それでも翻訳家になりたいなら目指せ!こっち側で待っています。

目次

翻訳家を目指す前に知っておくべき3つのこと

翻訳家を目指すまえに、この業界の“影”の部分である「脅威」、「大変さ」と「お金事情」の3点を押さえておきましょう。ほとんどの人が“光”の部分だけを見て飛び込むから失敗する。そうならないためにも、まずは“暗黒面”を理解しながら自分の意志を再確認しましょう。

翻訳家への脅威

翻訳家は安定した職業ではない。実力がすべての世界です。しかし、仕事の量が縮小傾向にありますので、実力があっても取るのが難しくなっている。その原因は一つではなく、クライアント・翻訳会社・翻訳家のそれぞれの利害が複雑に絡み合っています。それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。

AI翻訳の脅威

AIが人の仕事の半分ぐらいを奪うと騒がれて久しい。その50%の中に翻訳の仕事が入っています。

ChatGPTなどを使って翻訳してみた人なら分かりますが、AIの翻訳は決して悪くない。“そこらへんの翻訳家”の翻訳よりマシです。AIが出てくるまでその程度の翻訳家でも仕事取れましたが、今ではそのレベルの翻訳ならクライアントが翻訳会社に依頼することなく、自分たちで翻訳しています。たまに「うん?!」なネット広告がありますよね?それです!そう考えると、AI が“そこらへんの翻訳家”の仕事を奪ったことは事実

AIが特異的な進化を遂げて、万が一自然言語を理解できるようになったら、今度は本物の翻訳家たちも仕事を失うかもしれません。でも大丈夫!そのときは翻訳うんぬんのくだらない心配をしている場合じゃないですから。

飽和状態のフリーランス市場

翻訳家は誰でもなれます!勇気づけようとしている訳ではありません。免許や資格などがいらないため、明日から翻訳家になろうと思えばなれるという意味です。

定年後の足しに、お小遣い稼ぎの副業、家事の合間のバイトなど、翻訳業界はそのようなフリーランスで溢れています。踏み場がないほど溢れています!この大群のフリーランサーが減りつつある仕事を目掛けて、壮絶なパイの奪い合いを繰り広げています。見たことないような価格崩壊が起きているなかで稼ぐのは簡単ではない。

MTPE詐欺・搾取

MTPEは文章を機械で翻訳したあと、翻訳家にその文章のチェックと修正をさせる手法です(Machine Translation, Post Editの略称)。機械翻訳はやはり精度が低いので、人がキレイにしてあげなければクライアントに出せない。このMTPEはAIより質の悪い問題です。原因は一部の翻訳会社のやり口にあります。

翻訳会社はクライアントにこのように売り込みます:通常の人の手による翻訳がご予算に合わない場合、MTPEを試してください。MTPEなら費用は10%ぐらいしか安くなりませんが、納期を大幅に短縮できますので、費用以上のメリットがあります。

その条件で案件を取り、翻訳家にこのように言います:今回の案件はMTPEで機械が一番大変な翻訳作業を既にしているので、あなたにやってほしいのはチェックと、“必要があれば”修正だけです。チェックと修正なんか超簡単なので、報酬はいつもの30%だけでいいよね。翻訳ではないので、納期もいつもの3分の1でさっさとやってね。

長い付き合いがあるとはいえ、翻訳家がその条件を断るとその翻訳会社から依頼が来なくなる。勇気をもって断っても、実績を積みたい若手が代わりに入って一件落着。

そして最大の問題はここからです。翻訳家が依頼を引き受けて、キレイに修正された文章はどうなると思いますか?翻訳は当然クライアントに納品されますが、翻訳家がポストエディットで行った修正は翻訳メモリに反映されます。キレイになった翻訳文を翻訳メモリに蓄積していくことで、機械翻訳はキレイな翻訳を出すようになります。同様の文章はポストエディット自体がいらなくなるため、翻訳家は知ってか知らずか、全員の首を絞めている結果に。

ここでは詳しくは書きませんが、機械翻訳の精度が低く、紛らわしい翻訳を吐き出すため、チェックと修正に膨大な時間と集中力が掛かります。ゼロから翻訳した方が楽で、間違いなく早いです。しかし、翻訳会社のコーディネーターやマネージャーは翻訳どころか、英語分かる人はほとんどいないため、その大変さが分からない。コストを減らして、自分たちの利益を上げられるなら、実態や翻訳家の考えなどどうでもいい。

MTPEにはいくつもの問題がありますので、別の記事にまとめます。

翻訳家になってからの大変さ

本物の翻訳家になるのは大変ですが、なってからはさらに大変です。難しいのは仕事を取ることだけではない。常に更新しなければならない知識が多く、会社員のように毎月給与が入ってくるような生活は望めません。それぞれについてちょっと説明します。

仕事を取るのが年々難しくなってきている

AI翻訳が世に出てくる前、翻訳はクライアント→翻訳会社→翻訳家の流れで発生していました。しかし、AIの台頭によって、一部クライアントはAIを使って、翻訳を自分のところで完結させている。その分だけ、翻訳家に到達する仕事の量が減ります。

仕事が減っているもう一つの理由はフリーランス翻訳家間の過剰な価格競争です。Crowdプラットホームなどでワード2円で翻訳する人が出てきたため、その競争の激しさが伺えます。もちろん、翻訳の出来を見ると笑ってしまいますが、仕事のパイがそっちに取られていることは間違いないです。

必要な知識が多い

翻訳家になってからも新しい知識を頭に入れたり、古い知識を更新したりする必要があります。ニュースやネット検索だけで簡単に入手できるものがあれば、お金と時間を掛けて取り入れなければならないものもある。

翻訳は英語と専門分野さえあればいいとされる仕事でしたが、今ではパソコンの知識、CATツールを扱う知識、翻訳を効率良く処理するための知識がなければ、仕事がほとんど取れません。

フリーランスが基本、“社員”(雇用)は望めない

翻訳家を目指す人は“翻訳会社で就職”すること夢見ますが、従業員として雇用されて生活できる給与をもらっている人はゼロに近い。理由は2つあります。会社にとって一番高い費用は人件費です。翻訳会社の多くはその高い人件費を毎月払えるほど安定的に仕事が取れません。250言語、翻訳者3,000人以上をうたう翻訳会社が、毎月たたき出さなければならない売り上げを想像してみてください。

もう一つの理由は逆の視点です。翻訳という実力の世界で、実力がある翻訳家はクライアントと直接取引します。クライアントは役に立つ満足度の高い翻訳を手に入れ、翻訳家はやりがいとその努力に見合う報酬を手にする。誰が中抜き業者(翻訳会社)の理不尽な要求に従いながら、安月給で働きたいと思うのか?

翻訳家を悩ませるお金事情

どんな仕事でもお金事情は気になるもの。翻訳家になってから一番悩むのは間違いなく報酬です。次は仕事に欠かせないパソコンのスペックや構成(ハードウェア)。最後はCATツールなどのソフトウェアです。

低いワード単価ではいくら働いても稼げない

ヒドイけど実際の例を出しましょう。某Crowd翻訳のワード単価が2円。翻訳家が一日で出せる“まともな翻訳”のワード数が2,000だった場合、一日に4,000円稼ぐことになります。しかし、Crowd翻訳に毎日仕事が入ってくるとは限らないし、早者勝ちなので必ず取れるわけではない。百歩譲って22日仕事できたとしよう。一か月に88,000円稼いだことになります。年収でいうと105万円になりますので、103万円または100万円に抑えたい人が出てくるでしょう。

翻訳家の多くは翻訳会社に登録して仕事をしているため単価はここまで低くないが、状況が大きく変わるわけではありません。高い単価で仕事を取るためには、翻訳家として必要なスキルを身に付ける必要があります。

パソコンに相応の投資が必要

報酬に見合う依頼を取るためには、スペックの高いパソコンが必要です。いい案件はファイルサイズが大きく、複数の参考ファイルを見ながら、いくつかのCATツールを同時に使うことになります。そうすると、処理速度の速いCPU,余裕のあるメモリと2つのディスプレイは欲しいところです。Core i7以上、メモリ32GB以上が一つの目安です。

CATツールが高い

いまどきWordだけで翻訳する人はいません。限られた期間で翻訳しながら、スタイルガイドと用語集をしっかり守るためには、CATツール(翻訳支援アプリケーション)は必須です。そのツールは駆け出しの翻訳家にとってちょっとしたハードルになります。

種類も価格もピンキリですが、迷ったらRWS社のTrados(トラドス)というツールを検討してみてください。扱いやすく、しっかりしているため、私たちを含め多くのプロ翻訳家が使っています。フリーランス翻訳家用なら8万円ちょっとで購入できます。

この世界で戦う覚悟ができたならー翻訳の魅力と翻訳家の心得

このつらい現実を知ってもなお、翻訳家になりたい意志が1ミリも減ってないなら、あなたは普通の人ではない。この業界をいい方向に持って行く力を秘めています。諦めないでください。

ここで朗報です!その熱い志をさらに燃え上がらせるため、翻訳という仕事の魅力(“光の部分”)と翻訳家としての心得を説明します。

翻訳家は外国語ができない人の代理人

海外旅行したときに聞きたいことが聞けない、言いたいことが言えない経験がありませんか?あのもどかしさ、無力感、損している気分は計り知れません。これが言葉の壁です。

翻訳家の仕事はこの言葉の壁を壊すことです。海外の情報を知りたい人にその情報を教える。日本の情報を海外に発信したい人にその情報を発信する。例えるなら弁護士と同じです。弁護士は法律の知識がない人のために裁判で戦うように、翻訳家は外国語ができない人のために、海外ビジネスの舞台で戦います

作った翻訳が役に立つと嬉しい

代理人である翻訳家は、ビジネスでクライアントを勝利へ導くことが目的です。そのためには戦略を練ったり、細かいやり取りを重ねったりすることが重要です。長い時間と莫大な努力を要する作業ですが、クライアントが目的を果たせたときの喜びもひとしお。

翻訳には必ず目的があり、その目的を実現することが翻訳家の仕事

「商品を売りたい」、「会社の認知度を上げたい」など、翻訳には明確な目的がある。その目的を果たすために、クライアントが翻訳を依頼します。逆に言えば、目的を果たすことができなければ、翻訳を依頼する意味がない

翻訳家はこの“目的”をしっかり理解して、強く意識すれば、必ずクライアントの役に立つ翻訳が出せます。

翻訳は常に時間との闘い

たった1ページに1年もの時間をのんびり掛けることができれば、誰もがいい翻訳が出せるでしょう。残念ながら、現実はそうではない。マニュアル翻訳の場合、数百ページの取扱説明書を2~3か月という短い期間で翻訳する必要があります。もちろん、分厚いスタイルガイドと数万件の用語集を参照しながらです。

紙とペンで翻訳したら納期内に終わるはずがなく、Wordで間に合わせたとしても、スタイルガイドと用語集のチェックなどできやしない。翻訳は常に時間と効率性を考える必要があります

依頼者の目的を実現するために翻訳家が身に付けなければならないスキル

「翻訳家になるにはどんなスキルが必要?」はつかみどころがない漠然とした疑問ですが、翻訳家の使命を理解している今ではそうでもないでしょう。

翻訳家の仕事は「時間と戦いながら、言葉の壁を壊し、クライアントの目的を実現すること」です。簡単にまとめると、次の3つスキルが求められます:

それぞれのスキルの内容と程度細かく見ていきましょう。

翻訳家の基本でありながら最も難しいスキル - 言語能力

翻訳の基本である外国語。その外国語をどの程度知らなければならないのか?ここでは言語能力に焦点を当てて詳しく見ていきます。

※この記事は英語を念頭に考察していますが、考え方はほとんどの言語にも当てはまります。

翻訳家に必要な英語力

「TOEIC800点あれば翻訳できる?」や「英検準一級で翻訳家になれる?」とよく質問されますが、回答が難しい問題です。Crowd翻訳のわずかな報酬をもらうことが目的なら、答えは「Yes!」です。

しかし、ここまで読み進めたあなたはその程度の翻訳家を志していないはず。では、どの程度の英語力が必要なのか?

翻訳家の仕事はクライアントの目的を実現すること。そしてビジネスは実力と弱肉強食の世界。そこでクライアントを勝利へ導くためには、教科書や言語能力試験程度の英語を遥かに超える英語力が必要です。英語圏の国に行って、交渉しながら自分で家の契約を結び、何年も働きながら生活して、その国の人たちの習慣と“物の見方”を覚える。翻訳をやるためには、これぐらいの英語力が必要です。

自分の国から一歩も出ず、教科書と試験だけで翻訳やろうとするのは、日本に一回も来たことなく、YouTubeで寿司の作り方を覚えて寿司屋やっている外国人と同じ。寿司を知らない現地の人は食べるかもしれないけど、本物を知っている日本人からみて寿司って呼べるものではない。

忘れてはいけない日本語力

翻訳には必ず2つの言語が関わっています。そう!日本語力を忘れないでください。

文章は誰でも書けるけど、いい文章を書けるのはほんの一握りです。そもそも、いい文章とは何だろう?ここでいい文章は「クライアントの目的を果たす文章」です。大人気スマホのWebサイトを想像してみてください。製品ページはスマホの良さをしっかり伝えながら、「ほら、欲しいでしょ?」と言葉巧みな文章で購入ボタンをクリックさせます。それがいい文章です。スマホを売るという目的を実現させている文章。

いい文章を書くためには文豪である必要はない。その文章を読むターゲットに合わせて、分かりやすいかつ狙い通りの行動をとってくれるような翻訳文を作ればいいです。そのためにはターゲットの習慣や好みの表現・言葉を理解して、上手く利用する必要があります。

ネイティブレベル問題

言語能力レベルの話になるときにしばしば出てくる“ネイティブレベル問題”。重要かというと、私たちはそう思わない。理由はいま説明した日本語力の問題にちょっと似ているためです。

ネイティブレベルはという考え方は、「言語の理解と読み書きは現地の人が最高レベルだ」という前提に立っています。その前提が正しければ、日本の全人口がいい文章書けるはずです。しかし、現実はそうではない。

役に立つ文章を書く能力、質問の本質を理解して的確に答える力など、テレビに出てくる外国人コメンテーターの方がアベレージを大きく上回っているためです。

翻訳家としての幅を広げるスキル - 専門知識

第一関門である言語能力の壁を越えたら、今度は翻訳に必要な専門知識について説明します。

専門分野の知識

翻訳に専門分野の知識は必要ですか?専門知識が必要な原稿を翻訳する場合はもちろん必要です!

専門分野の知識とは、医療や法律などの分野の知識です。いくら日本語ができても、法律の本を渡されたらすらすら読んで理解できる一般人はいないでしょう。法律に関する原稿を翻訳する場合、法律の専門知識が必要です。しかも、日本語だけではなく、英語でも法律の勉強をしなければならない。費用も時間も2倍です。

逆に特定分野の専門知識を必要としない翻訳しかやらないのであれば、無理して何かを覚える必要はありません。

ライティングの知識

先ほどの“いい文章”の例を覚えていますか?あそこにライティングの知識が生かされています。マーケティング翻訳で特に必要な知識ですが、他の翻訳でも使えるので是非身に付けてください。

SEOの知識

今の時代は翻訳した文章がインターネットにアップされることが多いです。しかし、Webサイトの場合、普通の翻訳をしただけではそのコンテンツがアクセスされません。翻訳したコンテンツにアクセスを集めるためには、キーワードを選びながら文章を組み立てる必要があります。その知識はSEOを勉強することで手に入れることができます。

翻訳家の能力を最大限高めるスキル - IT技術力

紙とペンで翻訳するアナログな時代が終わった。コンピューターを使って翻訳することが当たり前になってきましたが、Wordで文章を打ち込んでいるだけ意味がない。25万円もする高機能なスマホを買いながら、電話しかしないような使い方です。

翻訳で稼ぐためには、品質・効率・作業負担の軽減を考えることが大事です。スタイルガイドや用語集のルールを正確に当てはめながら、一日の生産量を上げるためには、翻訳家はIT技術をフル活用しなければなりません。

CATツールを使いこなす力

CATツールは原稿を翻訳しやすい形に変えてくれたり、翻訳に必要なアシストをしてくれたりするアプリケーションです(Computer Aided Translation toolと略称)。例えるなら、翻訳家の力を増幅する“パワードスーツ”のようなものです。パワードスーツなので、勝手に翻訳してくれるものではない。また、翻訳家の能力が元々低かったら大して役に立ちません。

翻訳家が翻訳後チェックしなければならない項目(訳文の統一、数値、スタイルガイド・用語集を守っているかなど)をコンピューターならではの精度と速さでチェックしてくれるため、翻訳のスピードが飛躍的に上がります。そこから生まれる余裕によって、翻訳家は“翻訳”という作業に集中できます。つまり、より“いい翻訳”(いい文章)を考えることができます。

今の時代では、CATツールが使えなかったら大規模な案件を取ることはほぼ不可能です。ツールが高価で覚えるには少々時間が掛かりますが、その投資と努力を惜しんだら翻訳家として生きていくことが難しい

正規表現の知識

CATツールが訳文の統一やスタイルガイドなど、様々な項目をチェックしてくれるから助かると説明しましたが、チェックさせるためには正規表現の知識が必須です。

説明が少々難しいですが、正規表現は“文字を数学的に扱ってくれる技術”だと考えればいいです。正規表現を覚えることで、高度な検索を行うことができます。検索条件を上手く組み立てることで、翻訳に必要なチェックのほとんどをカバーできます。

文系にはアレルギーものですが、この知識を持っているかどうかで天と地の差が出ます。痒くなっても是非覚えてください。

データ漏洩を防ぐための高いITリテラシー

何を翻訳しているかによりますが、原稿には個人や企業の機密情報、未発表製品のデータ、まだ公開されていない情報などが含まれています。これらのファイルのデータが漏れてしまったら大変です。データ漏洩を防ぐためには、データが漏洩する仕組みを知る必要があります。つまり、データセキュリティに関する知識が必要です。

街中の喫茶店などで店が提供するWi-fiを使って仕事している人を見たことありませんか?自分または会社が手配したインターネットではなく、第三者の野良Wi-fiを使うと原稿などの情報が漏れる可能性が高いです。インターネットの仕組みなどに関する高いITリテラシーも翻訳家必須の知識です。

ここまで準備できたら、翻訳家になる方法を知る

高い言語能力、高度な専門知識、オタク並みのITスキル。この3つを手に入れたら、あなたは翻訳家として十分な腕を持っていると言えます。あとは仕事を取るだけ。それぞれのステップと注意点を見ていきましょう。

翻訳会社に登録する

それだけの腕があれば、Crowd系翻訳で人生を無駄にする必要はありません。「翻訳者ディレクトリ」などの掲示板に自分のプロフィールを登録してスカウトを待つか、翻訳会社に直接連絡して、登録できるかどうか聞いてみよう。

登録できる場合は“トライアル”という翻訳テスト的なものを受ける流れになります。このトライアルがくせもので、正解が分かりません。ほとんどの場合は渡されるのは文章だけで、用語集もスタイルガイドも何もありません。翻訳会社によって重視するところが違うので何とも言えませんが、“採点者の自由裁量”と考えた方が自然です。なので、明確な理由なくそのトライアルに落ちたとしても凹む必要はありません。翻訳会社は星の数ほどありますから、次のところに連絡しましょう。

単価の相性

晴れてトライアルに合格できたら、その会社から仕事を紹介される“可能性”があります。“可能性”というのは、あなたが提示した単価次第だからです。「腕があって単価が安い」と思われたら仕事がどんどん来るし、「腕があるけど高い」ってなったら連絡も来ない。

翻訳会社の原価率(ここでは、翻訳者の取り分)は会社によって全く異なります。専門性が高く、少数精鋭でやっているところは翻訳家:翻訳会社の取り分50:50の傾向があります。逆に、コーディネーター、プロジェクトマネージャー、チェッカー、レビューア、ランゲージリード、シニアPM、品質管理エンジニアなどの無意味な役職と複数の役員を構えている翻訳会社は、原価率が飲食店以下(30%)になります。翻訳家のコストをそこまで下げないと、翻訳には欠かせないこの人たちの給与と賞与が払えないでしょ?

イメージですが、翻訳会社がクライアントからワード30円で仕事を受注した場合、取り分が50%の会社では翻訳家の単価が15円になり、取り分が30%の会社だと9円になります。受注単価は翻訳会社それぞれですが、この仕組みを意識することで、翻訳家は相手を見ながら現実的な単価を設定できます

翻訳家の単価と年収はどのぐらい

翻訳業界は不思議な場所で、この20年で理解不能なことをいっぱい見てきました。その中で見た一番安い単価は英→日で0.1円/ワードです。国内の翻訳家ではないが、どう考えてもあり得ない単価です。もちろん、売り込みの文章を見たらすぐ納得しました。

英→日単価が5~9円の間が一番多い印象で、文章のぎこちなさやミスが目立つ層です。チェッカー、レビューア、品質管理エンジニアうんぬんが必要なのは、この層の翻訳家たちがいるためです。

10円を超えると安定した翻訳を出す翻訳家が増えてくる印象です。

この記事で説明してきた全てのスキルを身に付けた翻訳家なら、15円以上は間違いなく目指せます。Crowd翻訳の月収例の話覚えていますか?単価15円で同じ計算をしてみましょう。1日2,000ワード翻訳して3万円の報酬になります。1か月に22日翻訳したら、月額報酬が66万円に到達します。1年で考えると、年収800万円以上は稼げるでしょう。

結論

外国語ができない人の代理人”は面白くてやりがいのある仕事です。しかし、AIやMTPEの脅威が進むなか、ビジネス翻訳で生き残るためには、言語能力・専門知識・IT技術の3つの知識が必要不可欠。それぞれの知識を取得するためには、莫大なお金、時間と努力が必要です。長くて苦しい道のりですが、その覚悟があれば是非目指してください。私たちはここであなたの“参戦”を待っています

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