【観光業必見】オーバーツーリズム対策はこの3点から真っ先に取り組むべき!

根本的な解決に着目した対策を

表面的な問題を潰すためにオーバーツーリズム対策を行っていませんか?
観光地が抱える問題の根本的な原因を取り除かない限り、オーバーツーリズムを解決することはできません。観光立国の本質に則った3つのオーバーツーリズム対策をご紹介します。

目次

一般的なオーバーツーリズム対策

入場規制

施設やエリアなどに入れる人数をコントロールする方法です。1日または1時間に何人までという形で入場者数に上限を設ける対策です。メインの目的は環境保全と観光資源の保護ですが、一か所に集まる人数を制限することで、“観光体験の質が向上する”という側面もあります。

入場者数の上限設定の他に、下記の規制方法もあります:

  • 事前予約制
  • 時間帯ごとの入場規制
  • 滞在時間の制限
  • 再入場禁止やルート規制

観光税

観光客が地域を訪れる時に課される税金です。メインの目的は税収という形で得られたお金を、観光地のインフラ環境や公共サービスの補填に使うことです。観光税は主に宿泊(ホテル・民泊の1泊ごと)、入場(島や市に入るとき)、交通(飛行機や船)などを通じて徴収されます。

入場料

観光地、施設や町に入るためにお金を取るという対策です。観光税と似ているため混同されやすいですが、違いはお金を取る人とお金を取る目的(つまり、お金を使う目的)で違いがあります。

観光税は国や自治体その主体となって、お金を使うのは主にインフラの整備、環境負荷の補填や文化支援などの“税金のもっともらしい使い方”です。税金なので、問答無用で宿泊料金や交通費などに含ませることができます。

他方の入場料は、主体は民間だと考えればいいです。目的は民間が運営する施設等の保全の時もあれば、混雑の抑制・入場を管理するための場合もあります。取り方も分かりやすく、施設に入るためのチケットなどの形で徴収されます(映画館や博物館のように)。入場料を取られると、観光客の意識が高まりやすいというメリットもあります。

時間帯分散

時間帯分散は時間帯で人を振り分けようとする対策です。目的は混雑する時間帯の人を比較的に閑散としている時間帯に利用させることです。例えば、お昼とディナーが混雑するレストランの場合、13時~17時の間に割引など価格インセンティブを導入することで、そのピークを“均して”平らにすることができます。

場所の分散

混雑している場所にいる人たちに別の場所を紹介して、人気観光地の混雑を減らそうとする対策です。目的は混雑緩和の他に、一極集中の解消、他地域にも観光のメリットを享受させることです。

一見良さそうなオーバーツーリズム対策に見えますが、恐らくハードルが一番高い対策です。なぜなら、想像してみてください:
長年貯金してようやく千葉の夢の国にたどり着いた観光客に、「混んでいるから近くのアウトレットモールで観光して」と言ってみてください。行くわけがありません。

場所の分散という対策を成功させるためには、細かい情報分析と緻密なマーケティング戦略が必要です。

海外のオーバーツーリズム対策の事例

ヴェネツィアのオーバーツーリズム対策

水の都ヴェネツィアでは、大量に押し寄せる観光客によって地域住民の生活環境が大きく低下しました。

2024年から、町の宿泊施設に泊らず、市内にほとんどお金を落とさない日帰り(ヒット・アンド・ラン)観光客に対して5ユーロの入場料を導入しました。

マチュピチュのオーバーツーリズム対策

世界遺産であるペルーのマチュピチュは環境保全、文化遺産の保護、地元住民の生活、観光体験の質低下などのオーバーツーリズム問題に苦しんでいました。目安である1日2,500人程度を大きく上回る年間150万人以上の来訪者数を記録しました。

2011年からチケットによる入場制限を行い、近年では完全予約制(当日券なし)、最大滞在時間の設定(3時間)、再入場不可などの細かいルールが追加されています。

各国のオーバーツーリズム対策の効果

ヴェネツィアが行った入場料対策の効果

2025年には最大10ユーロに引き上げて、対象日は年間29日から54日に増やしました。収益は上げたものの、最大の目的だった人数の減少に至らず、むしろ観光客が増えた日がありました。そのため、効果は限定的でした。

マチュピチュが行った入場規制対策の効果

最もひどい時期と比べて混雑が大幅に緩和され、訪問体験の質が向上しました。しかし、一日に訪れる人の数は相変わらず多いため(理想である2,500人の倍ぐらい)、まだ十分な対策だと言えません。また、収益は中央政府や大手企業に集中しているため、地域経済への還元という課題が残っています。

従来のオーバーツーリズム対策の評価

的を絞ったピンポイントの対策でなければ効果がない

ヴェネツィアが行った入場料の徴収はその例です。ヴェネツィア市長が入場料を導入したとき、「入場料長州の目的は街に来る人の数を減らすこと」と説明していました。システムが導入されたのは2024年の4月なので1年ほどのデータしかありませんが、人が減るどころか、逆に増えた日がありました。人数を減らすという効果は限定的だったため、2年目から入場料が10ユーロに引き上げられて、対象日数も従来の29日から54日に拡大しました。

人数を減らすことが目的であれば、物理的な入場制限または高額な入場料を設定すべきです。誰でも払える中途半端な入場料では「人数を減らす」という本来の目的を達成できず、対策が失敗に終わりました。因みに、1年の入場料収益は2,425,310ユーロ(日本円で4億円弱)で、システム費用の一部を賄うために活用しました。

オーバーツーリズム問題の本質を捉えていない

ほとんどの対策が表面的な問題を解消するためのものになり、観光の本質を捉えた根本的な解決を目指していません。まるで出てきたゴキブリを叩いて「すごいでしょ?」と自画自賛しながら、一番大事なゴキブリの巣を見てみぬふりする。結局、ゴキブリは明日も出てきます。

効果的なオーバーツーリズム対策を打つためには、問題が起きている理由を正確に把握する必要があります。オーバーツーリズム問題の「なぜ」を知りたい方は、下記の記事が本質を掴むためのヒントになります。

オーバーツーリズム対策に取り組む前に

オーバーツーリズム対策の海外事例は大して参考にならない

オーバーツーリズム問題は発生する国と環境によって仕組みが変わります。そのため、海外で行われているオーバーツーリズム対策を熱心に調べても、自分の地域にも同じ対策ができる訳ではありません。

重要なのは、自分の地域で起きているオーバーツーリズム問題の原因と仕組みを正確に把握することです。問題に対して「なぜ?」をぶっつけていくことで、その本質と対策すべき部分が見えてきます。

そもそもなぜ観光業に力を入れるのか?

ネガティブキャンペーンのように毎日報道されるオーバーツーリズム。コロナの時代から観光業が意味もなく優遇され、国民軽視・インバウンド崇拝という世論形成をマスメディアが積み重ねてきました。本当にそうだろうか?観光は“悪”で観光業は百害あって一利なしなら、日本が国を挙げて観光立国などを目指すのか?

実はこの部分こそが、オーバーツーリズム対策を考える上で一番大事なところです。仕事では“会議のための会議”ではなく、ビジネスを成功させるために会議を行います。オーバーツーリズム対策も、問題を潰すための対策ではなく、観光業が本来の役割を果たすための対策が重要です。

日本はなぜ観光立国を目指すのか?

観光業に力を入れる理由:雇用創出力が高い、外貨を直接稼ぐ、経済波及効果が広い、地方再生につながる、国のブランド力向上、即効性がある。

デメリットよりも、メリットの方が圧倒的に多いからです。では、観光業に力を入れることで、国にどんなメリットがあるのか?

観光業には雇用を生み出す力が圧倒的に高い

観光業は労働集約型産業(人間の労働力に依存する割合が高い産業)です。ホテルなどの宿泊関連、電車やバスなどの交通関連、アクティビティやガイド、飲食、小売などに多くの人手が必要です。

機械化が進んでいない地方や発展途上国でも、観光業は比較的に早く、そして多くの雇用を生み出せます。観光業の力と規模が大きく、世界の10人に1人が観光産業で働いています(WTTC統計)。

観光業は「人を動かす産業」です。人のための産業という意味でも社会的意義が大きい。

外貨を直接稼げる産業

国内でものを作って売っても、お金が国内を循環するだけで増えません。稼ぐためには、海外のお金を国内に入れる必要があります。通常の製造→輸出→稼ぐ流れと違って、観光業では観光客が来て国内でお金を落としてくれます。航空券、宿泊代、食事代、買い物などすべてが外貨獲得になります。

特に資源の乏しい国(日本がその最たる例)では、観光業は“見えない輸出”として重宝されます。

どのぐらいすごいかというと、2023年の日本の観光収入は5兆円超えです。日本が車社会になったと言われるようになった1970~1980年頃の自動車産業も5兆円規模でした。

波及効果(経済の裾野)が広い

観光客が来ることで、おみやげなどの小売、レストランなどの飲食関連、移動に欠かせない交通関連、大きな割合を占める宿泊、訪日の動機になる文化施設、レストランを支える地元農業など、そのメリットが広範囲に広がっていきます。

一人の観光客が消費するお金があらゆる産業に循環するため、「観光は地元経済の総合エンジン」とも言われます。特に一次産業(農業、林業、漁業など)や伝統工芸との相性がいいです。

地方再生の切り札になりやすい

日本は東京の一極集中が進み、地方の人口減・産業空洞化が深刻化しています。しかし、観光なら自然、文化や人そのものが資源になります。つまり、工場誘致などの投資を呼び込まなくても、地方にあるものを磨くだけで観光資源になります。

国のブランド力を高めるソフトパワー

日本を訪れた外国人が、文化、料理、人々のホスピタリティなどを体験すると、観光だけでなく輸出や留学、投資にも波及します。観光で国のイメージが上がる(ソフトパワーが向上する)と、日本のブランディング力も上がるため、国のビジネス力もアップします。

比較的すぐに成果が出やすい(即効性)

工場建設などと違い、既存資源を活かすだけで短期的な成果が出やすいのも観光業の強みです。コロナ後も、観光は最も早く回復した産業のひとつです。

このように、観光業は単なる「余暇ビジネス」ではなく、「国の未来を支える基幹産業」になり得る力を持っています。だからこそ、多くの国が競争のように観光に投資し、戦略を立てています。

これだけのメリットがあれば、資源が乏しく、地方再生を重要課題としている日本は間違いなく観光業に力を入れるべきです。政府が観光立国を推進しているのはそのためです。

オーバーツーリズム対策を観光立国の本質から求める

オーバーツーリズムの解決法:客単価の引き上げ、量より質へ、日本の価値を高める。

観光から十分な利益があれば、バスの本数はいくらでも増やせます。ゴミ箱の数どころか、回収の回数だって増やせます。オーバーツーリズム問題が発生しているのは、その前の段階である外貨獲得が上手くできていないためです。つまり、問題を解決するためには、観光立国の本来の目的である「お金を稼ぐ」ことを意識する必要があります。

最も効果的な対策は客単価の引き上げ

あなたがビジネスをやっているとしよう。1日に100万円の売り上げが必要です。どの戦略を取りますか?1,000円の客1,000人を死に物狂いで“裁く”のか?それとも余裕をもって、100万円の客1人をちゃんと接客するのか?

客単価の引き上げはオーバーツーリズム問題を考える上でとっても重要です。なぜなら:

  • そもそも、観光は外貨を獲得するためにやっています。
  • 客単価の引き上げは日本の観光業界が抱える最重要課題です。
  • 客単価を引き上げると、観光立国のメリットが現れ始める(誰かが中抜きしなければ)。
  • 客単価の引き上げはある種の“フィルター”として機能する:来る人の数を減らして、インバウンドの質が上がる。

量より質で満足度を上げる

「淡々と裁かれた」1,000人の客よりも、「心がこもった接客」を感じた1人の客の方がまた戻ってくれます。量より質を選ぶことで客の満足度が上がります。満足度の高い客はまた日本に戻ってくれるだけではなく、体験した店やサービスを友人などに紹介してくれます。

「安いから日本に行く」のではなく、「価値があるから日本に行く」へ

安いから日本に来た人たちは為替が少々円高に振れただけで日本に来なくなります。「安いから行ってやっている」だけで、少し高くなったら行く価値など感じないから。価値のないところは価格競争に明け暮れ、共倒れするのがオチです。

客単価を引き上げるためには商品やサービスを磨いて、付加価値を上げる必要があります。付加価値の高いものは高くても欲しいものです。付加価値を常に高めていけば、外国観光客が必ずリピートしてくれます。観光立国はまさにその“好循環”を目指しています。

観光関連業が今すぐ取り組むべき3つのオーバーツーリズム対策

オーバーツーリズム問題を解決しながら、日本が真の観光立国に変わっていくためにも、宿泊、飲食、小売りなどの観光関連ビジネスが今すぐに取り組むべき対策を紹介します:

ビジネスの付加価値を高める対策

観光立国が目指す好循環:付加価値向上、客単価向上、売り上げの向上

「客単価を上げたければ付加価値を高めろ」という話、耳にタコができるぐらい聞いていると思います。理屈は分かるけど、“付加価値”という物の正体がピンと来ない。ここはみんながぶち当たって進めない壁です。

ニセコの例を考えましょう。なぜインバウンドが集まりはじめたスキーリゾートに外資系が豪華なホテルなどを作り始めたのか?答えは簡単です。インバウンドのニーズを満たす宿泊施設がなかったからです。「でも、日本のおもてなしが感じられる旅館はいっぱいあったよ」と、マスコミに洗脳された人が反論するでしょう。残念ながら、ニセコのインバウンドはそんな“おもてなし”など求めていない。そこに価値など感じないから。

価値を感じるところにお金が落ちる。つまり、売り上げを増やすためには、客が価値を感じる商品やサービスを作る必要があります。「商品・サービスの付加価値を高める」というのは、まさにこういうことです。問題は、客が価値を感じるものを突き止められるのか?

Frontierは外国人目線であなたがまだ気付いていない強みを発見し、その魅力をさらに引き立てるアイデアと技術を持っています。相談は無料です。付加価値を高めたいけど、どこから始めればいいか分からない方はご連絡ください。

付加価値を高める方法

マネタイズで売り上げを支える対策

いいものをタダであげたり、またはタダ同然で売ったりしていませんか?
これは日本のビジネスが抱える大きな問題で、客単価がなかなか上がらない原因の一つです。値段の付け方は確かに難しいですが、コツを教えます。必要なものは二つ:

1-「いいものは高く、悪いものは安く」という考え方。
2- 売っている商品・サービスの内容・価格を海外と比べる(海外調査を行う)。

この狭い井戸を出て、自分のビジネスをだだっ広い海外と一生懸命比較して、お金に換えられるものをしっかり売り上げに反映していく方法(マネタイズ)を覚えることが必要です。

お金を発生させる方法

ターゲットの特性を理解して、客層に合ったマーケティング(宣伝)対策を行う

ビジネスの付加価値を上げて、マネタイズを覚えたら、あとは観光客を呼ぶだけです。簡単なようで意外と難しいです。

釣りに行ったことある人ならば分かりますが、釣りたい魚に合わせてエサを変える必要があります。マグロを釣りたいときは生きたサバを仕掛けて、イワシを釣るときはサビキという小さなキラキラ疑似餌を使います。サビキではマグロ釣れないし、イワシがいるところに生きたサバを放り投げたらイワシが全滅するだろう。

マーケティングも同じです。呼びたい客に合わせて、マーケティング手法を変える必要があります。Webサイト、海外の旅行会社、Facebook、Instagram、印刷パンフレットなど、自分の商品やサービスを宣伝する方法は無数にあります。しかし、それぞれの方法には来る客が決まっています。やり方を間違えると大事な資源だけが“撮られて”しまいます。

付加価値向上、マネタイズ、マーケティングのいずれも知識とデータが必要なため、いきなり一人でやるのはなかなか難しいです。やり方を覚えながらビジネスを成長させたい方はぜひご連絡ください。一緒に取り組みながらマーケティングのノウハウが覚えられます。

呼ぶべき人を呼ぶ方法

オーバーツーリズム対策のよくある質問

海外のオーバーツーリズム対策はなぜ参考にならないですか?

オーバーツーリズムは「観光客がいっぱい来たから発生した問題」という印象が強いため、全部同じように見えますが、それぞれの仕組みと内容が国によって違います。仕組みが違えば対処方法も変わります。また、国が変われば法律や行政のフットワークも異なるため、海外の対策をそのまま日本に導入できるわけではありません。そのため、日本が抱える問題の本質を見極めながら、独自のオーバーツーリズム対策を打った方が効果的です。

オーバーツーリズムを解決する方法はありますか?

さまざまな方法がありますが、私たちが勧めるのは、一石二鳥の「客単価の引き上げ」という対策です。

客単価を引き上げることで:
1-観光収入を引き上げるという課題を解決できます。
2-購入できる人が少ない=来る人が減る(オーバーツーリズム状態を解消できます)。

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